➀「日刊工業新聞」2019年(令和元年)5月13日〈BOOKS〉
『ものかたち-建築的思考のプロトタイプ(試作モデル)とその応用』
「縮小する社会、知恵の結集が重要」(TOTO出版)〇著者登場~
藤村 龍至(りゅじ)・建築家、東京芸大准教授、RFA主宰
(’08年:平成20年東京工業大学大学院博士課程単位取得後退学。’05年
藤村龍至建築設計事務所〈現RFA〉主宰、’10年東洋大学専任講師。東京都出身)
「建築家としてどのような考えに基づいて、どういった建築を作っているかを
時系列でまとめた。個々の活動が断片的に伝わりやすいため、一貫性をもたせる
ことを意識した。最小の経験が次につながっていくように、これまでの経験を
一つの流れとして伝えたい」
「建築とは、知識を形づくるためのツールだと考えている。自らの限られた経験が、
他者との対話などを通じて濃いものになっていく。
知識をたくさん集めるために建築があるといえる」
-都市計画やまちづくりについても当初勉強されたそうですね。
勉強するうちに、都市計画と建築が互いに結びついていたのは1960年代までだと
いうことが分かった。太平洋ベルトを中心に日本全体に軸線を引くことと、
体育館に軸線を引くことは人を集中させるという点で一致していた。
それがいつの間にか都市計画は行政が決めて、建築は予算や敷地といったルールの枠内
考える社会になっていた。だが、2000年代に入ると潮目が変わる。〈人口減少社会〉
に突入し、拡大成長型の都市計画や施設計画でいいのかと、建物や機能、法律など
そもそもの前提を疑わなければならなくなった。
拡大から縮小へ日本社会において前提が変わる中、人をよく観察して、
まちで何が起こっているかを把握し、建物を提案する作業は半分くらい減るだろう。
建築には、商業施設や(補助金漬けの大学など)学校、保育園のようなもともと
ある活動に対して建物を与える作業と、今起こり始めている新し出来事に形を与えていく
作業の二つがある。
人口減少が進んで、日本の課題を凝縮したような場所が東京周辺の郊外に出てくるだろう
※国土の均衡ある発展と行政サービスの公平性〈わたしの問題提起包含〉⇒
〇(夏の参議院選挙改選議席:広島県は中国地区最多の2名、岡山県:1名等)
根拠に広島県内の東広島市(山陽新幹線の駅があり、隣接三原市とは沼田川を横断
する空港への大型アーチ橋が完成し空港アクセス道路へとなる三原市大和町経由)
と三次市(高齢化のまちイメージ)再生のため、2都市間での広域合併後、
〈コンパクト州都構想〉「中国5県のへその位置」『中国州議会議事堂の建設』⇄
アメリカ合衆国のワシントンDC(連邦政府の議事堂:ホワイトハウス設置)&
ニューヨーク市(芸術 、文化、経済、観光集積都市)イメージ化~
〇前者:東広島市+三次市 〇後者:政令指定都市:広島市〈類似性〉
残された人生をどんな地域でどのように過ごすかを考える時機にきている。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になるまでに、今後10年でまちを
改造できるかどうかが試金石になる。
建築家として先頭を切り取り組まなければならない。
〈まちの改造例〉
木造一戸建ての半分をオフィス、カフェ、(自然災害対応の)シエルタールームに
改造して働く場所にする(イメージ)
高齢化率が高くなっても満足度が高ければ良い。駐輪場の管理や家庭菜園
といった単純なものではなく、〈起業や企画、運営〉通じまちの課題を解決
していくような複雑な労働が必要だ、地域において、高齢者の過ごし方が変わるべきだ。
➁「日刊工業新聞」2019年5月13日『社説』
〈パナソニックとトヨタの街づくり〉『社説』
『住宅問題の処方箋に期待』トヨタ自動車とパナソニックは住宅部門で統合、新会社を
発足し街づくり事業に乗り出す。
「移動」「暮らし」という両者の得意分野をIoT(モノのインターネット)で結び付け、
※2 新たな価値の街をつくるものだ。
国が進めるスマートシティーの概念に沿っており、インフラ輸出(東広島市安芸津町の
港湾整備)の面からも期待できると同時に国内の住宅市場は先行きが厳しく着工戸数は減少。
一方、空き家問題は全国的な課題で、〈地方ではシャッター商店街〉では
買い物難民など街は荒廃。
背景には少子高齢化と一極集中の流れがあり、これらを劇的に変えることは現実的ではない。
しかし、地方都市が独自の魅力を備えて街を再生し、人を呼びこむことは可能だ。
そんあ仕掛けの付いた街づくりを行う新会社はその処方箋を示せるか注目したい。
例えば、太陽光発電で発電した電気を地域で共有し、そのエネルギーで自動運転バスを走らせ、
(ユニバーサルデザイン:ハンディキャップの有無に関係ない)思考での)高齢者も無理なく
移動できる循環型のコミュニティを利用して街全体を警備し遠隔医療なども行う。
もちろんテレワーク(個人のモチベーションを高める動機づけリーダーシップの問題包含)や
SOHO(スモールオフィス&ホームオフィスの略)など職場を生み出すことも可能だ。
パナソニックは神奈川県藤沢市で「サスティナルブル(持続可能な)スマートタウン」の
実績がありこれにトヨタが進めるCASE(コネクティッド・自動運転・シェアリング・電動化)
技術を融合するだけでも大きく進化しよう。
新会社の「プライム ライフ テクノロジーズ」には、トヨタホーム(広島初代社長:
広島工業大学建築科卒と広島市佐伯区に於いて2018年早春親交を深めた
現・タナカ株式会社 代表取締役 田中 正之)とその子会社:ミサワホーム、
パナソニッツクホームズなど5社が移管し三井物産も出資を検討している。
トヨタの住宅事業は30年以上前に、豊田章一郎(わたしが、トヨタ系列営業時代、
愛知県日進市於いて新人研修⇒中堅セールス研修受講当時「トヨタ自工+トヨタ自販=合併
〈トヨタ自動車〉誕生時の最高責任者)」
名誉会長の「人々の暮らしを変える」という強い思いで生まれたものだ。
新会社はスケールメリット以上にどんな価値を提供し暮らしをかえるのか。そして2社の
世界的ブランド&技術の標準化ができれば、インフラとして街づくりの輸出も可能になる。
日経新聞2019年(令和元年)5月24日(金)「経済教室」
『IoT時代のイノベーション』➀北陸先端科学技術院大学教授 内平 直志
(うちひらなおし 東京工業大学博士〈工学〉、北陸先端大博士〈知識科学〉。技術経営専門)
『変革が生み出す価値』以前ネットでつながっているのはパソコンやスマートフォンなどで
情報を入力するのは〈人間〉でしたが、IoT(モノのインターネット)では「モノ」が直接ネットに
つながります。
人間が入力する情報量に比べ、「モノ」からセンサー等で直接得られる情報量はケタ違いに膨大。
この膨大な情報〈ビッグデータ〉から価値を生み出すには、機械学習などの人口知能技術が不可欠
となります。
第4次産業革命とも言われるIoTによるイノベーション(技術革新)には、
➀プロダクト・サービス・イノベーション
➁プロセス・イノベーション
➀:製品(プロダクト)のIoT化によるサービス価値の向上で典型例:自動車
ネットにつながることでカーシェアリングや自動運転などの新しい価値をサービスとして
提供可能。
➁:業務プロセスの課題解決で典型例:スマート工場
生産設備や工場間をネットワークでつなぎ、生産状況をリアルタイムで把握・共有・分析
することで、製品の歩留まり向上、生産計画の最適化などの価値を生み出す。
➀➁のイノベーションは主体やアプローチが異なるので、区別して考える方が分かり易い
のですが、将来は統合された「プロダクト・プロセス・サービス統合イノベーション」の
事例も増加するでしょう。
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