モニター デロイト編 “Sustainble Development Goals”
「産業革命」と「経営革命」に同時に向き合う
〇SDGs対応の「義務」ではなく「戦略」である。「事業が成長し、市場シェアを
高めるほど、世界がより良くなる」経営の実現を追及(日本経済新聞出版社)
はじめに
“2030”の世界を切り開くために
持続可能な開発目標(SDGs)が期待として掲げる「2030年」という
時間軸は、日本企業にとって特別な意味を持つ。
東京オリンピック・パラリンピックがある’20年の先’25年には関西・大阪万博、
いわゆる“ポスト2020”の経営環境の不確実性に対する危機感が、経営者の間でも根強い
からだ。 2030年に向けて、※ディスラプション(破壊的イノベーション)が、
グローバルな産業構造の変化と経済成長の大きな核の1つとなることに疑いの余地はない。
この変化の主軸となるのは、Technology(特にデジタルテクノロジーの進化)と、
Society(シェアリングに代表される社会的な価値観の変化)である。
自社に影響を与えるマクロ経営環境を包括的に分析する、伝統的フレームワークである
PEST(P=Politcs 政治、E=Economy 経済、S=Society 社会、T=Technology 技術)
に照らせば、人口動態の観点から2030年に向けたアジア諸国における中間層増加に起因する
アジア経済の成長(E=経済)は蓋然性(がいぜんせい:ある事柄が起こる確実性や、
真実として認められる確実性の度合い)の高い予測の1つであり、手を打つ余地はまだある。
一方で、S(社会)とT(技術)の掛け算で起こる※デイスラプションのトレンド(流行・旬の話題)
は予測がしにくく不確実性も高い。
P(政治)に至っては、市場とは異なる政治的文脈で、SとTのトレンドを加速したり足を引っ張る
最も厄介な代物だ(Pに対するアドボカシー:擁護・代弁や支持・表明)についてはの本編で触れる
「産業革命」というほどのインパクトある構造的変化がこのSとTの掛け算で起こる結果として、
自社をとりまく産業構造がどのように変化するかについて確かな予測をすることは極めて困難である。
加えて日本企業は、足元に高齢化・人口減少という世界に先駆けた社会課題を抱えている。
2030年に自社が置かれる市場環境・産業構造がどうなっているかが不透明な中で、
どのような手を打ち、どのように“2030”の世界を切り拓いていけばよいのか-。
本書で取り扱うSDGsは「2030年」に向けて世界各国の総力をあげて解くべき深刻な
社会課題と具体的な達成目標を国際社会と共有している点で、この不確実な経営環境において
数少ない、Sに関する「蓋然性の高い未来」を示してしる。
加えて、Tの起点となる、シリコンバレーやイスラエルで続々と起こるイノベーションの
種の中には、これらSDGsが示す世界の深刻な社会課題を“的”にして創出されているものも少なくない。
SDGsは、一見あいてCSRやコンプライアンスに関するテーマととらえられがちであるが、
2030年に向けた不確実な経営環境のドライバーたるSとT示唆をもたらす羅針盤ととらえれば、
その経営戦略上の重要性の一端が見えてくるだろう。
〇SDGsは単なるスローガンではない
〇経営モデル自体にイノベーションが求められている
〇構成としては
社会的価値創出が経済価値創出と同時に企業活動において重要な時代が、SDGsを
旗頭にいよいよ幕開けしました。企業の経営目標のあり方、経営戦略・事業戦略のあり方、
事業創造のあり方を根本から検証し、不確実性高まる2030年に向けて、経営者は
どのように経営モデルのイノベーションを起こし、この大いなる変化を生き抜くべきか、
問いかけを企図した書である。2018年12月19日(1版1刷)
◎モニターグループは、2017年にThinkere50によって世界No.1経営思想家に
選ばれたロジャー・マーテインを輩出。
モニター デロイトは、特にSDGsやCSV、サスティナビリティ(Development Sustainblity)
を経営課題と捉えた戦略コンサルティングに、これまで数多く取り組んでおり、日本に於いては
CSV/サステイナビリティ戦略やイノベーション戦略に専門特化したチームを擁しまた・・・。
➁「地球を読む」2019年6月9日(日)《令和の経済課題》吉川 洋・立正大学教授
’51年生まれ。東大教授などを経て’16年4月、現大学教授、’19年4月から学長。
内閣府の景気動向指数研究会座長。社会保障国民会議座長、財政制度等審議会会長など歴任
『人口減少時代 成長するには』
’19年4月19日、国立社会保障・人口問題研究所が世帯数の将来推計を公表。
2040年には全体の40%が一人暮らしの世帯になることだ。
都道府県別にみると、高齢世帯(65歳以上)の割合が一番低いのは東京都:36.3%
しかし、高齢世帯に占める一人暮らしの割合では東京都:45.8%と一番高い。
「大都会で孤独に暮らす高齢者が急増する」。
約100年後の2115年に日本の人口を5050万人まで減少する。
これは約100年前、大正初めの人口にほぼ等しい。
急激な人口減少と高齢化がわれわれの社会・経済に深刻な問題を生み出すことは、今や広く
認識されている。
社会保障・財政の将来が危うい。「消える市町村」という言葉に象徴。
地域間格差問題とは、若い現役世代と比べて高齢者の間では、所得、資産、健康状態などは
人によって違いがおおきくなるからだ。
グループ内で差が大きい高齢層が増えるにつれ、社会全体でのばらつきも大きくなる。
高齢化の進行とともに正規と非正規雇用(平成の幕開け頃は約17%:非正規)
今や働く日本人の40%と増加。
資本主義経済200年の歴史で、19世紀後半から、ヨーロッパの先進国が格差の防波堤として
築き上げた制度が社会保障。
日本では1961年にすべても国民をカバーする公的年金と医療保険の制度が確立。
年金も医療保険も主として現役世代が保険料を払い、高齢者が受給する。
少子高齢化に伴い、払う人が減り、受け取る人が増えればやりくりは窮屈にならざるを得ない。
現在120兆円を超える社会保障費の給付総額のうち、保険料で賄われるのは6割にも満たない。
不足分は、国・地方の「公費」で負担したいるが、税収自体が足りない。
こうして社会保障の負担がそのまま財政赤字に平行移動しているのである。
国際通貨基金(IMF)によると、国、地方、社会保障基金を合わせた一般政府の債務残高の
国内総生産(GDP)比(2018年)は、日本:237%となり、世界188か国・地域のうち
最悪だった。「日本の財政赤字はもはや持続可能性ではない」
『逆境は技術革新の好機』人口が減る日本でイノベーションは可能なのか。その疑問に対し
人口、とりわけ現役世代が減る中で、勤務客相手の鉄道会社は文字通り「右肩下がり」の
経営環境にあると。しかし18年度の大手私鉄各社の決算は軒並み増収。
外国人観光客の増加による影響もあるが、業績を押し上げているのは「有料の通勤特急」。
◎数百円の追加料金を払っても座って乗車したいという潜在的な需要があったのだ。
新しいモノ・サービスを生み出すイノベーションの基本は、人々が何を求めているかを的確に
見い出すことにある。
米アップルを創業(タナカ株式会社:広島市佐伯区於いて、2018年10月11日起業)
したスティーブ・ジョブズがやったのも、こうしたことだ。
◎多くの問題を生み出す少子高齢化は、実はイノベーションの機会でもありことはわかるだろう。
令和が日本経済復活の時代になるために必要なのは、新しいことに挑戦する勇気であり、
そうした人を励ます社会である。
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